2019.10.12
台風で何だか心休まらずなので前から書こう書こうと思っていたラムネのことを書く。
4年ほど前からセキセイインコを飼っている。
父方の祖母が亡くなってしまった直後、それはお葬式に履いていく靴を探しにだったか格安服屋が併設されているホームセンターでの出会いだった。
元気が欲しくて何の気なしに母と妹と寄ったそこでは、毛が生えそろったくらいの雛鳥達がひよひよ鳴いていてそれはそれはかわいかった…なかでも、ものすごく元気で懐っこく、パステルカラーが綺麗すぎる一匹から目が離せなくなった。ひよひよ、ひよひよ、その子はまん丸の黒目をキラキラさせて鳴いていた。ちょ…かわいいが過ぎる…
靴を見ている間もその子のことをずっと考えていて、そして、ちょうど私は3週間前に退職してしばらくニートをしようと思っていたところだった。あれ?今なら飼えるんじゃ?というか今しかないんじゃ…?
帰り際にもう一度見に行ってかわいさを再確認。彼には全くお伺いもしていなかったけれど、私の中では、飼う気持ちが固まっていた。
家に帰って彼にそのことを話す。正直彼の答えは覚えていないけど、ほんとに飼うの?え?本当に?と言っていたような…気がする…。うん、飼うの。あれを運命の出会いと言わずして何という!あの子を飼わずして誰を飼う!
というわけで翌日、しかも祖母の葬儀の後、私たちはペットショップへ向かった。その頃はまだ車も持っていなかったから、か弱い声でひよひよ鳴いている箱を大事に抱いて、名前は何にしようと話しながら家までの道を急いだ。初春の夜、手に伝わってくるあたたかさと、動いた時に箱の中で爪が当たるカタカタという音が夢のようだった。家を出て、初めて自分たちだけの意志で飼うペット。そわそわしてしまう嬉しさと、これから先10年以上にわたるかもしれないこの子との暮らしの責任を思う。
家に着いて、ひよひよをかごに移す。小声でずっとひよひよ言っているのがかわいくてかわいくてすぐにでも遊びたいけどぐっとこらえ、少し高いところに置いたかごに入れて布をかける。実家で最初に飼ったピヨは、無知ゆえ飼ってすぐ床にかごを置いてしまって更に私たち子どもが頻繁に覗いたことで体調を崩してしまい、子どもながらにとても反省した。ピヨちゃん、あの時はごめんね。
少し落ち着いてきた様子だったので、挿し餌をする。こぼしながらも一生懸命食べてくれ…あぁ〜〜〜かわいい~~~!!!何があっても守ろうと思う。なるほど、これが母性か…!
ひよひよはすくすく大きくなり、鳴き声はいつの間にか溌溂とした「ぴよ!」になり、パステルカラーは換羽の末すっかりビビットになった。どこを触ってもされるがままだったのに、いつからかなでられるのを嫌がるようになり、姿勢良く凛々しい顔をして肩にとまるようになった。
鳥を飼っている、と誰かに言ったとき、鳥って感情あるの?と聞かれたことがある。
言っておくが、めちゃくちゃあるよ!!!
かごから出すときは毎度目がキラッキラで大興奮だし、スマホに夢中になっていたら邪魔してくるし、私がお風呂に入ると扉の前で大鳴きしながら待ってるし(夫氏のことは待っていない)、遊んでいるとほっぺをふわふわに膨らませてはしゃぐ。そのくせしつこくするとつり目になって怒るし、突然睡魔に襲われて指にとまりながらうつらうつらしてるし、テレビなどで突然大きな音がするとギャーと叫んでかごに逃げ帰ったりする。覚えたおしゃべりは判別できないものも含めたら何十語もあると思う。最近のお気に入りは「なんですか?」「ただいまぁ~」「○○くん(夫)おかしいね?」「え?」「ラムネもう一回言って?」である。これらの言葉を早口でひたすらまくしたてる。達者か!
感情豊かで、全てが面白くてかわいい。
いつだか夫氏と大喧嘩をして泣いていたら、普段大騒ぎしているラムネが、鳴きもせずずっと私の顔を見つめ続けてくれたことがあった。インコは群れで生活するから、仲間の感情やその場の雰囲気にとても敏感なのだそう。ラムネがどう思っているのかを正確に知ることはできないけど、心配そうに私を見ているラムネの顔を見て、愛を感じた…気がした。そして、じゃあ私が彼(ラムネはオスである)を大好きだって気持ちは、ちゃんと彼に伝わっているのかなと不安になった。私が彼と暮らして幸せを感じているように、彼もそうだったらいいなぁ。
さて、感慨深くこんな日記をしたためている横で、ラムネはおもちゃのブランコさんに夢中で愛を語っている。うーん、やっぱり上のは妄想で、実際彼は何も考えてないのか…?まぁそういうところも好きなんだけどね。能天気さと優しさのバランスが絶妙で、だから動物って大好きだ。
いつでも我が家を賑やかに照らしてくれる小さな太陽くん。これからもずっと大切にするからね。ずっとよろしくね。
台風によるスマホの通知が鳴りやまない。どうか被害が最小限で済みますように。あぁ、ひとりだし何だか少し怖いな。ラムネがいてくれてよかった…。