夕焼けとさくらんぼと味噌ラーメンと

「マチネの終わりに」見たよ 胸糞なのにこんなにも美しい

もんだいちゃん(@mondai_g)です。今やこのブログは感想をしたためる場であると言っても過言ではない…。

 

久しぶりに邦画を映画館で見た。

いや~~~~~!余韻がすごい!もう何か、心の奥底ではいろいろな感情が渦巻いててとても一言では表せないはずなのに、そして月並みな表現のようであまり言いたくはないのに、でも「美しい映画だった」とまず言いたくなってしまう作品でした。

 

「マチネの終わりに」見たよ

以下がっつりネタバレありの感想です。

 

 

 

 

 

胸糞なのにどうしてこんなにも美しいのか

だがこれだけは言っておきたい。ストーリーに関しては、超絶胸糞。

それなのにまず「美しい」という感想を持ってしまうのは、視覚と聴覚に流れ込んでくる全てのものが、物語の展開を凌駕するほどに美しかったから。

あぁどうかお願い、と見ている我々が淡く期待した結果には結局のところならなかったし、というか美談として描かれるにはあまりにひどく、悲しい出来事なのだけれど。それでも、宝物のような時間の記憶はその人の一部としていつだってキラキラ輝いている。自分では気付かなくても、蓋をしたつもりでも。控えめに、でもずっと輝き続けている。

乾いた異国の風、絵画のような街並み、胸を焦がすような音楽。そして、相手を、信じていたということ。客観的に確かなものなんて何もなかったけれど、精神的なつながりを確かに感じられた時間はかけがえなく、2人の記憶に一生残り続けるのでしょう。思いがけない場面で起きる、相手のことを心から思う純粋な気持ち。それは決して恋仲だけにあることでなく。その思いのやりとりは美しく優しく奇跡のようで、あぁいいなぁと、少し嫉妬してしまうくらいに素敵で。

 

そんなロマンティックな気持ちになった反面、ラストの再会の後には、それぞれの生活にまた戻っていくのが理想的だなぁと思った(ここはかなり意見が分かれるところだと思うけど…現に同じ頃に見たという友人は、再会後2人で幸せに暮らした、という先を描いていた)。

私としては、この再会の後、洋子さんがこの一連の出来事を親友の女友達に笑い泣きしながら話せていたらいいな、と願った。悲しくも宝物のような思い出だからこそ、きっと誰にも話していないのだと思うんだよね。だから、美味しいものをたらふく食べて飲みながら全部話して、現実のものとして成仏させて、前に進んでほしい。洋子さんには絶対に幸せになってほしいから。(あとマネージャーさんは絶対に絶対に蒔野さんを幸せにしてください。)

 

真実を告げられても、水をかけるのをぐっと堪えて、彼女の目の前では消して泣かない洋子さんはとてもかっこよかった。それはもうこちらが泣きたくなるぐらいに。いっそのことかけてほしかった、きっと彼女もそう思っていたと思うし、洋子さんもそれを感じていたと思う。でも、かけなかった。…はぁ…つらかっこいい…ゆり子ちゃんにしかできない演技だと思う。素晴らしい。

 

若い頃はこういう話ってどうしても響かなくて、というのも事実の方にばかり目が向いてしまい、信じられない!むきー!いざ敵を倒さん!となっていたのだけれど、余韻を感じられる程度には感性が大人になったということなのかな。でも、思い合ってたふたりだったからこそ美しくなくてもなりふり構わず追いかけ合って欲しかったとも思うし…まぁ正解はないのだよね。できるのは、過去の選択を愛することだけ。過去は変えられるだけでなく、放っておくと知らず知らずのうちに変わってしまうものだから。

 

見終えて映画館を出ると、秋晴れと少し冷たい風。道路に落ちている枯葉。この時期に公開するなんて確信犯だな、と思う。見慣れた街の風景も美しく見えてしまうよ。もう一度聴きたくて仕方なくて、衝動的にダウンロードしたテーマソング「幸福の硬貨」のギターの音色がそんな秋の風景に震えるほどぴったりで、あぁ…映画館を出た後の余韻までも考え込まれているなぁ…なんだか悔しくなるほどにどっぷりと作品の世界に浸かってしまいました。もちろん原作も買ったよね…。

 

根はハピエン厨だから、すごく良い映画だった!さいこー!感動!何度でも見たい!と言える感じではないのだけれど、でも秋になったらきっとまた見てしまうだろう。

見に行って良かったな。ひとりでよかったな。ひとり観賞超おすすめ作品です。

 

映画「マチネの終わりに」オリジナル・サウンドトラック

映画「マチネの終わりに」オリジナル・サウンドトラック

 

 

マチネの終わりに (文春文庫)

マチネの終わりに (文春文庫)

 

 

それではまた~

f:id:mondai-girl:20170201164910j:plain(もんだいちゃん)

 

スポンサーリンク