夕焼けとさくらんぼと味噌ラーメンと

1~3月の読書感想文「サラバ!」 私の信じるものは私自身が決めるんだ

もんだいちゃん(@mondai_g)です。

今年も始まって3ヶ月が経ったというのに読書感想文の一つもあげられてないなんて、もう細々読書生活終わったと思ったでしょ?年末の記事でフラグ立てすぎだったしそのまま終焉を迎えたと思ったでしょ?終わってないんだなー!これが!!相変わらず一気に読む癖は直らないものの、3ヶ月で3冊読みましたよ「サラバ!」上・中・下!これぞ文庫マジック!というわけで今年も読書感想文続けるよー!(ネタバレほぼなし)

 

 

1~3月の読書感想文「サラバ!」

西加奈子さんの作品は漁港の肉子ちゃんに続き2作目。肉子ちゃんがとても好みだったので期待。最近(半年前だけど)文庫化されたので本屋さんで平積みになっているのを見た人も多かったはず。

サラバ! 上 (小学館文庫)

サラバ! 上 (小学館文庫)

 

主人公である歩くんの目線から、穏やかな父、華やかな母、そして奇妙な姉と生活の先々で出会った人たちについて書かれています。外国で生活するということ、宗教のこと、そして日本で生き、歳を重ねるということ。全体を通しぽつりぽつりと時間が進んでいく書き方で、特に前中巻まではドラマティックな出来事もあまり起こらないので退屈に感じる人もいるかもしれません。言い換えれば途中で読み止めても続きが異常に気になる~~!ってわけではないので、スキマ時間に読むには向いてると思う。

 

西さんからの力強いエール

下巻に入ると、穏やかな物語の中にも少しずつ変化が現れてきます。物語の冒頭から流れた年月は35年。主人公の周りの環境も、家族にも、そして彼自身にも目に見える変化が訪れていました。でも、全ての事象は繋がっていて、その全部で今ができている。

終盤は、もはや小説というより作者の西さんからの、力強いエールが込められた手紙を読んでいるようでした。醜いことも、悲しいことも、優しいことも、全て背負って自分を信じる。自分が生きていくことを信じる。大丈夫だよ、がんばれ。目を見て肩を抱かれながらそう言ってもらっているような、強いけど柔らかい、そんな読後感でした。

 

私の信じるものは私自身が決めるんだ

物語が進むにつれて、私は主人公くんにすごくイラついてくるのですが、それはきっと私自身もまだ「揺れて」いるからなんだろうなぁ。息をするように情報が手に入る現代は特に、自分が本当に信じるものを見つけるのってとても難しい。「これが好きだなぁ!」と思っても、そのすぐ下のリプライに書いてある罵詈雑言が目に飛び込んでくるし、「これってどんなものなんだろう?」とわくわくしながら調べれば簡単に批判的な事実を見つけることができてしまう。そんな中で胸を張って「いろいろあるのは百も承知だけど、でも、私はこれを信じている」と言えることはとても尊く、強く、眩しい。

 

「あなたが信じるものを、誰かに決めさせてはいけないわ」

 

最終章のタイトルにもなっているこの言葉は、今も絶賛揺れている私に「どう生きたいか」を改めて考えさせてくれた、お守りのような言葉になりました。

 

サラバ! 上 (小学館文庫)

サラバ! 上 (小学館文庫)

 

 

それではまた~ 

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